書籍紹介ー三國志 第6巻(宮城谷昌光)
こんにちは軸ブレ社会人です。
以前自己紹介記事に書きましたが、わたくし趣味についても軸がブレブレでして、ランニング以外にも様々な趣味をもっております。
読書も趣味の一つでして、今後は読んだ書籍についてもブログにしていきたいと考えています。
今回紹介する書籍は宮城谷 昌光氏著の「三國志」の第6巻を紹介したいと思います。
え?なぜいきなり6巻かって?
1~5巻までも読んだのですが、ブログに書き起こすタイミングを完全に失ってしまいました。
今後時間のある時に1~5巻までについてもブログで書籍紹介していきたいと思います。
さて書籍紹介。
- 宮城谷 昌光版「三國志」について
いわずと知れた中国の歴史小説です。これまで様々な文才が「三国志(三國志)」を書籍化してきました。(私も吉川英治著、北方謙三著「三国志(三國志)」などについても読んだことがあります。)
その中でも、宮城谷昌光著の本作品は陳寿の「正史 三国志」を題材に作成された著書であるため、羅漢中の「三国志演義」を題材としたドラマチックな内容とは対極的に、史実に基づいてかかれた三国志といえます。
とはいえ、淡々と事実だけを述べるのではなく、歴史の事実や、史実に記載された人間関係から推測される各キャラクターの思想や、考え方などが丁寧に描かれています。
- 三國志 第6巻のあらすじと内容について
いわゆる前半のハイライトが目白押しです。
✓官渡の闘い後の曹操の冀州平定(袁氏一族=袁尚、袁譚の討伐)
✓三顧の礼による劉備、諸葛亮の迎え入れと隆中対(天下三分の計)
✓長坂波の戦いでの趙雲による阿斗奪還
などが描かれています。
- 見どころ
上述したとおり、第6巻は三国志ファンであれば誰もが覚えている名場面が盛りだくさんに描かれています。
その中でもいくつか三国志演義(といっても三国志の代表的な作品である吉川英治版=以下吉川版との比較になってしまうのですが)とは若干異なるエピソードを描いているところが、私としては興味深かったです。
たとえば、徐庶の離脱のタイミング。徐庶の劉備軍から離脱した理由については、劉備が陣営の中で徐庶を重用できなかったことが理由として描かれています。徐庶の母親が曹操の陣にとらわれたことはあくまでも離脱のための理由で、本音は劉備に重用される諸葛亮への嫉妬が理由。その諸葛亮を紹介したのも徐庶であるところが皮肉なところです。また、三顧の礼へも徐庶は同伴している場面が描かれています。(吉川版だと徐庶は三顧の礼より前に、曹操に徐庶の母親が捉えられ、やむなく劉備軍を離脱したエビソードが描かれていると思います。)
また、長坂波の戦い後の趙雲の合流のタイミングも、ドラマティックな阿斗奪還ではなく、阿斗も抱えたまま趙雲は一度失踪しており、赤壁の戦いのあとに劉備軍に合流しています。(吉川版だと趙雲を追ってくる曹操軍に長坂橋に張飛が立ちはだかり大声で曹操軍を追っ払うという現実離れしたエピソードが描かれていたと思います。)
宮城谷版「三國志」は彼ならではの、落ち着きのある内容で描かれています。
- 所感
私個人として、一番印象に残ったのは、曹操の君主としての振る舞い。話が前後しますが、曹操の冀州平定にための北伐について軍議で意見を募ったときに、臣下に猛反対されるが、反対意見が多数でたものの、最終的には決行。
結果的に北伐は成功するのですが、その後に北伐に反対した諸将を集めて、諸将が処罰を恐れる中、「たまたま天の助けがあったから成功した。常にうまくいくはずがないので、諸君の諫めこそ万安の計なので、賞するにふさわしい。今後も発言を控えないでくれ。」といった場面が印象的です。
悪役として描かれることの多い曹操は、この宮城谷版では名君として描かれている印象です。逆に劉備が遊侠的な人格で描かれているという印象。
曹操はじめ荀彧など好きな人物が魏の陣営に多いので、以降の宮城谷版「三國志」も楽しみに読み進めていきたいと思います。
最後までお読み頂き、有難うございました。