軸ブレ社会人の活動履歴

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書籍紹介ー夕映え天使(浅田次郎)

こんにちは軸ブレ社会人です。

 

今回の書籍紹介はこれ。 

浅田次郎著の「夕映え天使」。

私はこれまでに浅田次郎作品をいろいろ見てきましたが、きっかけは映画でみた「メトロに乗って」。「蒼穹の昴」など歴史小説も書かれているようですが、昭和レトロな情緒あふれる作品もいくつか手掛けており、すっかり魅了され、浅田作品にはまりました。

夕映え天使

夕映え天使

 

 

  • 本作品について

人生の喜怒哀楽をつづった短編小説集。

以下の6つの短編が書かれています。

 

  • 夕映え天使

一郎は父親との二人暮らし。キャバレーで知り合った女性と結婚はしたものの、財産を奪われた上に逃げられ、現在は東京の片隅でひっそり中華料理屋を営んでいる。そこにある時、謎多き女性、純子が現れ、住み込みで働くことになり、それなりに満たされた生活をしていた。あるすれ違いがきっかけで、純子が失踪してしまってから1年を経過したとき、軽井沢警察から電話がかかってくる。それは自殺の身元確認の呼び出しの電話であるが、父親を心配させないために嘘をついて軽井沢まで出向く。身元確認には、一郎から失踪した後に、純子と生活していた下島と知り合う。一郎は下島に嫉妬や競争心など様々な感情を抱きながら話をするが、最終的にはお互いの思い出を分かち合う。

 

  • 切符

東京オリンピック直前の恵比寿の町。少年の広志は、両親が離婚し、傷痍軍人である祖父に引き取られて二人で暮らしている。あるとき銭湯に行く道で、祖父の家の二階に間借りしている八千代が泣いているところを見かけ、成り行きで女風呂に一緒に入ることになったが、同級生の千香子に目撃される。そのことがきっかけで千香子と親密になった広志は、千香子から戦争で亡くなった同朋を弔う祖父の行動を知ることになる。戦後の終結としてのオリンピックの巷の盛り上がりとは対照的に、戦争に対して特別な感情を抱く祖父。また、八千代に対して母親とも異性ともいえない感情を抱くことになる広志。妻子持ちの野村と別れることになった八千代は、野村との同棲解消を期に、恵比寿の間借りの家から引っ越すことになり、広志、祖父、千香子は八千代を送りだすことになる。

 

中小企業の部長のマサヤは定年退職となり本日最終出勤日。特別な一日ではあるけど、特別な一日にしないようにと、いつものように一日を過ごそうとする。部下の中島からの軽口、昔の愛人の雅子、同期で社長の若月、行きつけの居酒屋のおやじなど、最終出勤日ならではの特別な一日のやり取りが発生はするが、感情を押し殺して、なんとか普通の一日として最終日を過ごす。帰路についたマサヤを妻の夏子は迎えるが、息子の翔太は不在。夏子と娘の沙織とともに夕食をとるが、夕食にラジオから玉音放送が流れる。彗星が地球に衝突することが3年前に判明し、なんと本日は地球滅亡の日だったのだ。核兵器、環境問題、途上国援助など、人類における様々な課題を克服するべき、世界中のすべての国が、地球滅亡の日を「特別な一日」にしないようにと、国連で採択されていた。

 

妻と死別した荒井敏男は15年前から、三陸の港町の喫茶店琥珀」を経営していた。一方、定年退職を間近に控えた刑事の米田勝巳は、これまで大きな仕事の実績もなく、田は妻と離婚し、娘も嫁に行き、むなしい日々を過ごしていた。再雇用の話も断り、残りの有給休暇取得を兼ねて、三陸を旅していた。そんな中、娘より元妻の再婚の話を聞き、孤独感に苛まれながら、喫茶店琥珀」を訪れた。米田の目的は1週間後に時効を迎える妻焼殺の犯人、川俣新太郎を検挙するためであった。川俣は15年前に三陸に居を移し、荒井と名を変え、時効までひっそりと暮らしていたのであるが、米田はそれをつきとめ、検挙直前のところまで追いつめる。もう少しで時効を迎えたい荒井(川俣)、最後の花道を飾りたい米田。米田はと客と喫茶店の店主荒井(川俣)として会話を重ねるうち、川俣の妻の殺害の経緯などを聞くことで、特別な感情を頂くことになる。

 

  • 丘の上の白い家

不良高校生の小沢は素行が悪く水商売で働く母親と二人暮らし。真面目な勤労学生の清田とともに小沢は奨学金をもらって学校に通っている。少年期に丘の上の白い家で暮らす少女の記憶を抱えたまま、すさんだ高校生活を送っていた。ある時、小沢は友人の紹介で、丘の上の白い家で家庭教師をしている謎多き女性、英子の家に転がりこむ。英子の企みで、小沢は丘の上の白い家に暮らす百合を紹介され、百合に純粋な恋愛感情を抱くが、身分の不釣り合いを理由に、清田に百合を譲り紹介することにする。その後、清田と百合の関係は気になっているものの、母親の店に通う左官屋に心を通わせながら日々を過ごす。ある日、突如、清田と百合の無理心中の報告を受けるが、表沙汰にしない学校関係者。警察の取り調べにおいて百合は生き残っていることが判明した。年数が経過し、小沢は建築会社を興し、順調に経営を拡大していくが、ある日、百合に似た人物と会話を交わす。隠された遺書には百合による無理心中の計画が書かれていた。

 

  • 樹海の人

憧れの小説家が自衛隊駐屯地で自殺したことをきっかけに自衛隊に入隊した、小説家希望の「私」の不思議な体験の話。自衛隊に入隊した「私」は、富士の樹海に踏み込み、指令部からの無線を傍受し演習の終了まで指示に従うという訓練を行っていた。富士の樹海に踏み込んだ私は指令部からの無線を傍受できず苦戦していたが、なんとか無線を受信できた。一晩の訓練の計画が、指令部からの度重なる演習の延長の指令を聞いて途方に暮れている中、ある一人の男が私に近寄ってきた。「私」はその男が自殺志望ではないかと疑うが、そのことには触れずに会話や酒を交わす。別れ際に自殺について抑止する言葉をかけるか悩んだものの、そのまま別れた。訓練が無事終了し、わだかまりの感情をそのお男のことを考える「私」。あの男は一体誰で、何の目的で富士の樹海に踏み込んだのか?「私」は時空を超えて未来の自分と遭遇したのではなかったかと思いを巡らせる。

 

最後までお読み頂き有難うございました。